貸倒引当金(日商簿記ネット試験第3問対策)
日商簿記ネット試験第3問(決算問題)対策として貸倒引当金についてお話したいと思います。
まず、引当金とは、特定の費用を見積もったときの貸方科目をいいます。
よって表題の貸倒引当金は、企業が債権などの貸し倒れ(回収不能)のリスクを決算時に事前に見積もって費用計上したときの貸方科目をいいます。何やらややこしいですね。
それでは、貸倒引当金について詳しく見ていきましょう!
貸倒れの処理
前述したように債権などが回収不能となることを貸倒れといいます。。
例1)得意先の倒産により売掛金100,000円が回収できなくなったときの仕訳は、
※回収不能となった売掛金を減少させるとともに、回収不能による損失額を「貸倒損失」勘定(費用)として仕訳します。
貸倒れの見積り(初年度)
貸倒れは稀に起きるものでしょうか?
残念ながら意外と頻繁に起きるものなのです。そこで決算時において、過去数年間の回収不能額の平均値(実積率)を求め、来年以降の回収不能額を見積ります。
例2)決算において売掛金期末残高520,000円に対し貸倒れを見積もる。なお、過去3年間の貸倒れの実績率は2%である。
※売掛金残高520,000円×実績率2%=10,400円(回収不能見積額)
※回収不能見積額10,400円を貸倒引当金繰入勘定(費用)として借記する。
※実際に回収不能となったわけではないので売掛金を減少させるのではなく貸倒引当金勘定(資産のマイナス)を貸記します。
貸倒れの見積り(2年目以降)
例3)決算において売掛金期末残高480,000円に対し貸倒れを見積もる。なお、過去3年間の貸倒れの実績率は2%である。なお、決算整理前の試算表に貸倒引当金残高2,800円がある。
※売掛金残高480,000円×実績率2%=9,600円(回収不能見積額)
試算表に貸倒引当金2,800円が残っているので、今回設定するのは9,600円-2,800円=6,800円
※回収不能見積額6,800円を貸倒引当金繰入勘定(費用)として借記する。
※実際に回収不能となったわけではないので売掛金を減少させるのではなく貸倒引当金勘定(資産のマイナス)を貸記します。
まとめ
日商簿記検定試験では、貸倒引当金の設定額から試算表残高を差し引いて貸倒引当金繰入勘定(費用)を計算します。この方法を差額(補充)法といいます。
設定額<貸倒引当金の場合は、
(借)貸倒引当金 ×××/(貸)貸倒引当金戻入 ×××
となります。貸倒引当金戻入勘定(収益)はあまり見かけませんが、試験範囲にしっかり入っていますのでご注意ください。