預り金と立替金(日商簿記ネット試験第1問対策)
(日商簿記ネット試験3級第1問対策)仕訳編
本来、従業員などが自ら行うべき税金や社会保険料などの納税・納付手続きを、会社が本人に代わって代行するために給料から天引きしたときは預り金勘定で処理します。また、会社が従業員などに代わって支払いを代行したときは立替金勘定で処理します。今回は預り金勘定と立替金勘定についてみていきましょう。
※預り金勘定は、「預かり金」勘定ではありません。「預金」と区別するために間に「り」を入れていますのでご注意ください。
預り金勘定
前述したとおり預り金は税金と社会保険料の2つに分けて見ていく必要があります。それは預かった日は同じでも関係各所への納税・納付の期限が異なるため最近の日商簿記検定試験では同時に出題されることが少なくなっているからです。
(1)税金の天引き
給料から天引きされる税金には所得税と住民税があります。給料から天引きされた税金は翌月10日までに税務署に納税されます。なお、日商簿記3級の学習であれば住民税については無視しても問題はありません。
(2)社会保険料の天引き
給料から天引きされる社会保険料は、厚生年金保険料、健康保険料、雇用保険料があります。天引きされた社会保険料は翌月末日までに社会保険事務所に納付されます。
【仕訳例】
(1)6月20日給料日の仕訳
給料総額300,000円から源泉所得税18,000円、社会保険料27,000円を控除し、残額は当座預金口座から従業員の普通預金口座へ振り込んだ。
※貸方の預り金勘定は、「所得税預り金」勘定と「社会保険料預り金」勘定に分けて処理することもできます。問題文の指示を見落とさないように!
(2)7月10日 従業員より預かっている源泉所得税18,000円を税務署に現金で納税した。
※上記(1)で所得税預り金勘定で処理したときは、「(借)預り金」勘定を「(借)所得税預り金」勘定で処理します。
(3)7月31日 従業員より預かっている社会保険料27,000円を社会保険事務所に現金で納付した。
※上記(1)で社会保険料預り金勘定で処理したときは、「(借)預り金」勘定を「(借)社会保険料預り金」勘定で処理します。
立替金勘定
仕入諸掛りや販売諸掛りなどの先方負担分について当社が立て替えて支払う場合などの時に使用する勘定科目を「立替金」といいます。例えば、営業担当者が商談の際に「この諸掛りは弊社で立て替えます云々」などと言ったとしたら経理に怒られるのが関の山です。よって、軽々に立替金勘定での処理は実際にはないと考えていいと思います。が、従業員の福利厚生に関連する項目であれば立替金勘定の使用も可能かもしれませんが、その時は従業員立替金勘定の方がよろしいかと思います。
前回の動画はコチラ↓↓
【第23回】かんたん簿記動画 給料の仕訳について【日商簿記3級講座】
https://youtu.be/NN3c4wMODxw