手形について

カテゴリー:簿記知識 |

今回は「手形」についてのお話しです。

手形とは、「今はお金がないので支払えませんが、3カ月後なら払えそうなので、支払いをそこまで待ってもらえませんか?ありがとうございます。では3か月後の〇月〇日にお支払いしますね!」という取引です。
古い話で恐縮ですが、第2次世界大戦で日本が戦争に負けて、焼け野原になった日本国を再建するためによく使われました。現在の流通量は、その当時に比べると10分の1以下になっているようですが、紙の手形の廃止(2026年)など近年新たな動きが出ていますので試験的には要注意です。

紙の手形が無くなったらどうなるの?
心配ご無用!「でんさい(電子記録債権)」があるじゃないですか!

手形法上の分類

手形法上、手形は「約束手形」と「為替手形」の2種類が発行できます。前者は「手形代金は、品物を購入した私が自ら支払うことを約束します!」という手形をいい、後者は「代金は、品物を購入した私に替わって、〇〇さんが支払ってくれます!」という手形をいいます。なお、後者の「為替手形」はその流通量が全体の1%未満となってしまっている関係上、日商簿記検定試験では扱わないことになって久しいですが、全経簿記では1級から、全商簿記では2級から「為替手形」が登場します。ご注意くださいませ。

簿記上の分類

簿記上の手形は、「受取手形」と「支払手形」の2種類に分かれますが、「受取手形」と「支払手形」の2枚あるのではなく1枚しか存在しません。そしてその1枚の手形が支払期日にお金に変わります。
よって、手形そのものを受け取ったときに「受取手形」勘定(資産)で処理し、手形を作成し誰かに渡したときに「支払手形」勘定(負債)で処理することになります。

手形を受け取ったとき

手形で支払ったとき

※いずれの場合も、手形は当座預金で決済されます。

その他の分類

その他の分類として、(1)商業手形、(2)金融手形、(3)融通手形などに分かれます。

商業手形

商品売買の決済用に使用される手形をいいます。日商簿記ネット試験3級ではこの使用法が原則となります。

金融手形

金銭消費貸借、つまりお金の貸し借りの際に「借用証書」が使われますが、その「借用証書」の代替(だいたい)として使われるのが金融手形です。手形は金融機関という第3者が介入することになりますので貸した方も借りた方も安心安心!ということになります。が、公にすると貸金業法に抵触するかもしれませんので、実際にはただ単に借用証書の変わりとして使われているようです。

融通手形(これは禁止!されています)

日商簿記ネット試験では2級からの扱いになりますが、手形は第3者に譲渡(裏書き)することができます。そこで金融機関に譲渡(裏書き)してお金を借りること(手形の割引と言います)ができます。つまり手形を「担保」として使うことができるのです。それを悪用すれば、AさんとBさんがお互いに手形を作成し、その手形を交換し、それぞれの取引銀行で割り引くと、簡単に資金調達をすることができます。ただし、このような状態で手形の決済はなかなか難しい、、、

倒産(連鎖倒産)への道まっしぐら!となるために禁止されています。
被害にあわないよう融通手形の存在を知っておく必要があります。昔の人はこんなことを言っていました。手形はその手形ではなく、その手形を持ち込んだ「人」をしっかりと見るべし!と。